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日本はチベットから多くのことを学ぶことができる。優れた精神文化や深い歴史からだけではなく、中国に支配された経緯と命がけの抵抗運動から、我々が多くのことを学ぶべきだ。チベットが自由になるということは、日本が自由になるということだ。――このサイトの趣旨にご賛同いただける方は、サイト内の文章をご自由にご利用ください
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ペマ・ギャルポ氏

ペマ・ギャルポ氏



 こんにちは。
だいたいいつも集会に来られる方は同じ方で、しゃべる方も同じで、本当はこの話をここに来ていない人々にもっともっと聞いてもらわなければならないと思います。

チベットの現状は、あるいはこれまでチベットが体験してきたことは、すべて、イリハムさんの言ったことがそのまま適用されると思います。

現在進行形のことも過去に起きたことも大事です。チベットで120万人の人たちが犠牲になりました。そして現在も進行中です。

私たちこの3名(イリハム氏、ペマ氏、石平氏)、それぞれ母国語が違います。歴史も違います。わずかこの60年間で、私たちは同じ国ということになり、同じ言葉を強制されているわけです。
ただし、中国共産党にいじめられているという意味では、中国の人民もおそらく同じだろうと思います。

この21世紀において、国連の常任理事国でありながら、国連憲章をはじめ、世界人権宣言などを無視し続けている中国に対して、世界の人々に訴えるという意味で、となりの中国人(石平氏)、元中国人も同じだということです。

モンゴルで起きたことがチベットで起きました。モンゴルではすでに、モンゴル人20%、中国からの移民が80%になりました。

その次に、チベット、ウイグルで同様なことが起きて、そして同化政策が進んでいます。また、チベットで起きたことに対しては、国際司法委員会も、あれは計画的組織的大虐殺だったということを、きちんと判決として出しています。

最近、ウイグルと同じ民族、同じ宗教のトルコの首相がいみじくも、声を大にして、現在、中華人民共和国がやっていることは、大虐殺だということを言っております。

日本には、国際人権派を売り物にする国会議員もいます。また、そのような職業に近いことをしている人権派がたくさんいます。

しかし、残念ながら、今ウイグルで起きていること、チベットで起きていること、モンゴルで起きていること、あるいは自国の政府によって自国の軍隊が自国民を殺している中国に対して、日本の人権派の人たち、そして、何かあると平和という、まるで平和教、お経のように唱えている某テレビ局、某新聞社なども、今、そういう事実についてほとんど語っていません。

私がここで言いたいことは、チベットで起きたことがウイグルで起き、あるいはモンゴルで起き、やがて台湾でも起きる可能性がある。それをそのまま放っておくと日本をはじめアジアに伝染病のように広がるのではないかということです。

それに対してもっと世論というものが、できてもいいんじゃないかと思います。

また、これらの中国政府による行為に対して、そのまま見て見ぬふりをすることは、間接的にそれを助勢し、荷担していることになるのではないかと、そういう自覚を世界の人たちにもってほしいと思っております。

長い人類の歴史の中で、マハトマ・ガンジーがインドの独立を、非暴力を通して、達成しました。もちろん、その背景には、チャンドラ・ボーズなどの働きもあったということは忘れてはならないと思います。

しかし、ガンジーが一貫して非暴力、そして正義ということを強調して、最終的には多くの英国人も含めて、特に英国の労働者をはじめとして一般人がインドに理解を示すようになりました。

その次に、私がはっきり覚えているのは南アフリカです。
少数の白人に長い間、多数の黒人をいじめ、差別し、一方的に支配してきた国に、国際世論がこの差別政策を撤回させる大きな役割を果たしました。
それには世界の良識ある人たちが、経済制裁をはじめ、様々な形で当時の南アフリカ政府、白人政府に対して諭すような行為を一致団結してやったからだと思います。


そしてそのおかげで、ネルソン・マンデラが、南アフリカで、復讐の政策ではなく融和の政策を行い、人々に平和をもたらすことができました。

最近、中国でも、中国人の中に良識ある人たちに、自分たちの政府が、自分たちを長い間だましてきたこと、そして今、自分たちの社会そのものを世界全体から見て、いかに異質であるかということについて、正しい意識が目覚め始めていると思います。

今日ここにいる、何度も言いませんけれども、中国人が数名いるということは、私はとても勇気づけられることであります。

私が、今中国がやっているあらゆる政策を見ていると、むしろ向こうの方が、今じたばたしている。自分たちがやっていることに対して自信をなくしている。だから世界の、たとえばマスコミに対して、本当のことを見せられない。一生懸命隠そうとしている。

中国で何が起きてるかということ、中国の指導者たちの子供たちが、次から次に外国に生活の拠点を移していること、政権を維持するためには、軍事力を増強し続けるしかないということで、今、海軍を中心として、強烈な、大きな軍事力増強が進められていること、こういうことを見ていただければ、今の中国の悪政も、そう長く続かないと思っております。

四十数年前に、私がそのとき文化大革命のもとで何が起きているか、日本のみなさんに訴えても、「あなたたちは反動主義者だから」「ダライ一派だから」「どうせあなたは中国あるいは革命に元々反対だから」と言われて、政党の名前は言いませんけれども、あるいは宗教団体も名前を言いませんけれども、私は日本人からも門前払いを受けたことがあります。

しかし、世の中変わりました。
もはやあの60年代みたいに、北京政府もすべてを隠しきれません。鄧小平はいいこともいくつかやりました。悪いこともたくさんやりました。そのいいことの一つは、留学生をたくさん外国に出したことです。そしてこの留学生たちが初めて外に出て、自分たちがそれまで教わった歴史と、世界の歴史は違うということに目覚め、いかに自分たちがだまされてきたかということを、今わかり始めています。

また、科学技術の進歩によって、今はインターネットとか携帯電話だとか、そういうものを通して外にどんどん情報が流れるようになりました。
そして外で留学生として自由な空気を吸った人たちが今戻っているわけです。

こういう人たち一人一人が、今後、中国のいろんな分野においてリーダーに当然なれると思います。日本では高校を卒業すれば8割か9割がそのまま大学に行けます。しかし中国がいかに進んでいるといっても、まだ大学にいけるのは5,6%、高等教育を受けられる人がたぶん2割ぐらいしかない。その中で、外国に留学して帰国した人たちは、それなりにその社会においてリーダー的な役割を果たすと思っています。

ですから、中国はいずれ壊れる。
今一番問題なのは、日本をはじめとして、延命治療をやっていることが一番問題だと思います。

国際世論が、中国に対してもっと正しく、きびしく、接することが、私は中国の人民のためにも、そしてウイグル人やモンゴル人、チベット人、あるいは自分たちの言論の自由のために戦っている人たちが毎日殺されないためにも重要で、日本がもし非暴力を通して、世の中を変えたいと思ったら、もっともっと世論というものを高めることが必要だと思います。

今日みなさんに話すのはなんとなく釈迦に説法のような気がします。
会場にはチベット問題からずっといらっしゃってる方々ばっかりですけれども、しかしこの声ができれば、外の方々に伝わることがあればと思います。

今日は、今チベットで何が起きているか、チベットが大きな刑務所のような形で、24時間監視されている、その詳しいことについて話すのは、やめます。

チベット、ウイグル、モンゴルで起きたこと、あるいは起きていることは、決して日本にとって無縁ではない。ということだけを申し上げて、私の話を 終わらせていただきたいと思います。
ご静聴ありがとうございました。


つづく


 

その1   その2   その3   その4

その5   その6   その7   その8
 

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