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日本はチベットから多くのことを学ぶことができる。優れた精神文化や深い歴史からだけではなく、中国に支配された経緯と命がけの抵抗運動から、我々が多くのことを学ぶべきだ。チベットが自由になるということは、日本が自由になるということだ。――このサイトの趣旨にご賛同いただける方は、サイト内の文章をご自由にご利用ください
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緊急シンポジウム ウイグルで何が起きているのか?

2009年7月26日(日)
国立オリンピック記念青少年総合センター
センター棟4Fセミナーホール(417)
日本ウイグル協会 イリハム・マハムティ主催


何回かに分けてシンポジウムの内容を紹介します。

 


日本ウイグル協会会長 イリハム・マハムティー氏

イリハム・マハムティー氏




こんばんは。
暑い中、こんなにたくさんの方々にご出席いただき、ありがとうございます。

ウイグルで起こったことは、みなさんも報道である程度ご存じかと思いますが、メディアは主に中国の発表した情報を使っており、私たちがメディアに伝えた情報は一部しか使われません。
ウイグルで本当に何が起こっているのか、我々が今までつかんだ情報をみなさんにお伝えしたいと思い、今回、緊急シンポジウムを開催することになりました。

急な話なのに、今日パネリストとして出席していただいた先生方は、すぐに了承してくださいました。心強く思いました。ありがとうございます。


今回のウイグルで起こったことについて、中国政府は、一部の人たちが計画し、実行したことで、ほとんどのウイグル人は無関係である、と言っていますが、これは、真っ赤な嘘です。

今回のことは、中国共産党政府が支配してきたこの60年間のウイグル人の心の中の怒りの爆発なんです。それを挑発し、爆発させたのは、中国政府自身なんです。

7月5日の、学生らがインターネットで呼びかけて行った平和的なデモに対して、政府は彼らと対話するのではなく、暴力をふるい、射殺しました。ウイグル人が住んでいる地域に、すぐに情報が流れ、抗議行動は広がりました。残念ながら、一部のウイグル人に非人道的な行為を行った者もいました。私たち世界ウイグル会議それから、世界ウイグル会議の議長の声明でも、そういう人々の行為を強く非難しています。

でも、彼らがウイグルに入ってきて60年間、政府は中国人たちに、バックに政府がついているから、何をやってもいい、というメッセージを送り続け、60年間続いたその虐待に対する怒りが、その日爆発したんです。

この60年、ウイグル地域で何があったのか。
最初、中国軍が入ってきました。中国政府に、軍人たちを引き上げる気はありませんでした。最初の軍人たちが年を取ってきたので、中国政府は生産建設兵団という組織を作り、軍人に農業を始めさせました。
最初、ウイグルの農民たちの一番いい土地を奪い始めました。
それから、水源に近い土地を開拓しました。
ウイグル地域では、地下水ではなく、山の雪解け水で農業を行います。生産建設兵団が駐在するところはすべて山の近くです。彼らはウイグル地域の水源をほとんど奪いました。

ウイグルの農民たちは、彼らにお金を払って水を買わなければならなくなりました。

その後、ウイグル地域で、いろんな工業を始めました。
中国の法律では、各自治区ではどんな職場でも、その自治区の名称となっている民族を、65%以上、職員に採用しなければならない、と定められています。
でも実際は守られていません。


最初、ウイグル人たちは、いろんな企業に入っています。
当時、中国人は、強要しなければ誰もウイグルには来ませんでした。
ウイグルは気候が厳しいからです。
冬は気温が-30℃まで下がります。夏は暑いところでは50℃まであがります。こういうところに、中国本土の人たちがくるはずはありません。
中国政府は文化大革命の時期に、青年たちに「祖国建設のためにウイグルに行こう!」と呼びかけ、上海から何十万人もの若者を連れて来はじめました。
政府の命令でどんどんウイグル地域に移住してきました。そうしてたくさんの中国人が入ってきた結果、ウイグル人たちは仕事を奪われ、仕事が見つからなくなってしまいました。

今は一般のウイグル人だけではなく、大学を卒業しても95%は卒業=失業になっています。残りの5%はどういう人かというと、共産党政府に協力している、共産党政府関係機関に勤務しているウイグル人の子供あるいは親戚です。そういう人だけが職に就けます。

こういう状況で、ウイグル地域では今、若者たちの間でエイズが一番はやっています。
その数は中国でナンバーワンです。
でもウイグルでエイズが見つかったのは、河南省で患者が報告された10年後なんです。それにもかかわらず、今ウイグル地域のエイズの発病率は一番高いのです。

仕事がない若者たちはたむろし、お金が欲しくて、遊びたくて、彼女が欲しくて、犯罪の道を選ぶんです。犯罪の道を選んで、覚醒剤に手を出します。
お金がないと、注射器を5人、10人で使い回します。その結果、たくさんの人たちがエイズになっていました。

そういう現実があるのに、中国政府は予防策をとっていません。
北京のある大学の中国人大学生がこの現実を知り、ウイグル人にエイズの危険性を知らせるためにウルムチに行き、2日間広報しましたが、逮捕され北京に送還させられました。

つまり、中国政府はウイグル人たちにエイズが蔓延してそのまま消えて欲しいということなのです。
こういうことは、ウイグル人たちはみんな知っています。

でも、それを政府に陳情すると、民族主義者のレッテルを貼られてしまいます。我々は、意見を政府に伝えることを禁止されているんです。
ですから、そういう怒りはウイグル人たち同士で話すしかありません。

それから、2000年に入って、ウイグル人がウイグルの言葉で教育する権利が奪われました。
今、どんな田舎に行っても、中国語で教育が行われています。ウイグル語は完全に禁止されています。
これにもウイグル人たちの反発がありますが、それを政府に訴えることはできません。

政府によると、ウイグル語は現代に合わないそうです。21世紀に合わないそうです。
ですから、我々ウイグル人のためにも中国語を勉強しなければいけないそうです。

中国政府はそう言っていますが、中国語を学校で勉強して中国の本土の大学を、優秀な成績で卒業したウイグル人大学生が、ウイグルに戻って仕事を探しても仕事がありません。募集している企業に応募しても、彼らに待っているのは、「ウイグル人はいりません」という返事です。

そういう優秀な人材は、ふたたび中国本土に戻り、外資系企業に就職しています。

それから、ウイグル地域にいけばわかりますが、募集要項にはっきり「民族」という欄があります。募集民族は漢族とはっきり書いています。堂々と書くんです。

それにも我々は反発してはいけません。
反発すれば民族主義者です。

それから、2006年に入って、ウイグル地域からたくさんの女性たちを中国の本土に、仕事を斡旋するという名目で連れて行き、賃金が安くて中国人が敬遠する仕事をさせています。
連れて行かれるのは15,6才から25才までの未婚の女性だけなんです。結婚したものは連れて行きません。
これは明らかに政府の同化政策です。、
もう一つ怒りが心の中に起きました。


そういういろいろな事件があり、いろいろな怒りが、この60年で起きました。

それで、今回の広東省の事件です。
25日夜10時から中国人たちがウイグル人たちを殴り始めました。
警察がきたのは26日午前3時です。
5時間、警察はどこにいたのか。武装省察どこにいたのか。
ウイグル地域だと5分かかりません。チベット地域でも5分かかりません。どこから出てきたのかわからないが、すぐに町の中が警官、軍人でいっぱいになります。

それから、意識を失って倒れているウイグル人を中国人が棒で殴っている、その傍に警官が立っている。その警官は何の対応もしていません。
これは我々ウイグル人に大きなショックを与えました。

中国政府の目で見ると、中国人から見ると、我々は人間じゃないんじゃないですか。

彼らは我々は動物扱いしている、と考え始めました。

それでもウイグル人たちは10日間、政府の回答を待っていました。

政府から何の回答もありませんでした。

中国語のサイトでは「ウイグル人を殺した英雄万歳!」とか「ウイグルの豚野郎を全部殺せ!」とかこういう暴言が出始めました。

ウイグル人学生たちもインターネットでこれに対する怒りをインターネットの掲示板で話しあうようになり、その結果、7月5日、彼らは一緒に政府にどういうことがあったのか、回答してほしいという思いで、自分たちは政府を批判するつもりはないことを示すために、先頭に中国国旗を掲げてデモを行いました。

それでも政府は、彼らに正しく対応するのではなく、最初は暴力、その後すぐに銃殺、それで今回の事件が起こりました。

事件はまだ怖くありません。怖いのは事件の後なんです。たくさんの被害者が出てます。

いまウルムチでは、女性たちが街に出ることができません。
兵士たちが堂々と「銃を持っているだろう」と女性たちの体をさわるというセクハラをしています。

我々イスラム教徒は、こういう辱めを受けることは、命を奪われるよりも重いことだと考えます。

さらにこういう挑発が起きたら、ますます現実は悪化します。

これからのことを、私たちは一番心配しています。

我々がつかんでいる情報、ウイグルはなぜこういうことが起こったのか、その理由を簡単にみなさんにご報告しました。

ご静聴ありがとうございました。

 

つづく

 
 

その1   その2   その3   その4

その5   その6   その7   その8

 

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