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質疑応答
チベットとウイグル、内モンゴルが同じような境遇にありますが、協力して何かをやろうという動きはありますか?
ペマ・ギャルポ氏
チベット、ウイグル、モンゴルは、1960年代から共同の声という組織があり、ずっと会を重ねてきております。現在ももちろん、気持ちの上で、いちばんお互いに通じていると思います。
たとえば僕が病気になったら、本当の痛みは、僕の母親も代わって感じることはできません。
母親が私のかわりに死にたいという気持ちになるかもしれませんし、一生懸命私をお医者様にかけることはできるかもしれません。
それと同じように、中国のもとで現在何が起きているかということに対して、一番痛みを直接感じている人たちは、モンゴル人であり、中国人であり、そしてウイグル人であり、チベット人です。
そういう人たちが一緒になったり、共有するのは当たり前のことだと思います。
前にみんなの組織の代表として、ダライラマ法王に対して、共同のスポークスマンになってほしい、ということで、法王にそういうことを申し上げたことがございます。
ラビア・カーディルは、昨年も、チベット問題はウイグルの問題である、と言ってくれました。今回のことについても、チベットの人たちもウイグルの人たちに対して、いろんな形で、いろんなところで、発言をしています。
たとえば、東京でのこの前の集会で、今の代表から、正式にチベット亡命政府の立場で連帯を意思表示しました。ですから、今後も、これは運命的に、いっしょにやらざるをえないということと、もう一つは、あまり知られていないんですけれども、私たちは古いお互いの歴史的な関係があります。
そういうことについても、今改めてお互いに研究し、私たちの先輩たちがどのようなことを残したかということについても財産として共有していきたいと思います。
石平氏
ウイグル人、モンゴル人、チベット人、みんな連携して、立ち上がった方がいいですわね。だいたいヤクザがいちばん怖がっているのは……普通の人々が、一人一人孤立していると、ヤクザの言いなりになるんですけれど、ヤクザも商店街のおっさんたち、みんな立ち上がるとヤクザも怖がるんですよ。
永山氏
石平さんのおっしゃるとおりだと思います。ヤクザは言いがかりをつけますよね。理に合わないことを言いますが、これはおかしいぞ、とみんなが言えば、声が出なくなるというのがあると思います。
去年、チベット問題をめぐる国際世論が支那を大変狼狽させた。
三つの民族の連携というのは、僕は詳しくはわかりません。それぞれ行ったことないんですね。しかし、南モンゴルの人たちは完全に骨抜きにされてしまっているという状況があって、チベット、ウイグルにしたって、横の連結だって、恐怖政治支配下ですから、簡単にはいかない。
ただ、日本の側が、みんなで団結しましょう、というアピールを、国際世論ですね。それをやれば必ず大きな影響がないわけがない。あの人たちを励ますことにもなります。
現在は横の連絡がたとえできないとしても、将来、中共崩壊の方向へ向かうときは、そういったメッセージを送り続けていれば、力を発揮するんじゃないかなという気がします。
青山氏
正直、会場の方はいい質問されるなと思います。
チベット人ウイグル人モンゴル人の連携というのは、私たちに伝わっていない。永山さんが言われたとおり、非常に難しいと思うんですが、中国の実際の民族政策をみていると、連携を断つというのを極めて意識していて、とりあえず中国は、チベットウイグルモンゴルの連携というよりは、たとえばイスラム教徒の中の連携を断つために、ご承知の通り、中央アジア諸国に徹底的に介入していますし、上海にそういう組織ができているのもご存知の通り。
最近中ロで軍事演習を行って、ウイグル人の動きに対して、中央アジアから連携がないようにしているわけですね。
報道を見ていただくと、そういうのは全然報道されていないという話がよく出るんだけれど、本当は見ているとちゃんと手がかりがあるんです。
これはあえて申しますけれど、今日のようにいい質問が出るくらい、意識の高いみなさんだから余計、報道って常に何でもかんでも提供してくれるってことはありえなくて、断片が出てくるから、なんかあったときだけ報道するのが報道なんですよ、元々
。
中を整理して体系づけて報道できるはずがないんです。これは僕の記者経験から自戒を込めて言うんですけれども。目の前で起きていることを一つ一つばらけて報道する以外ないわけです。報道できるとしても。
結びつけるのはむしろ受け手の側なんで、中ロの軍事演習もやったばかりですけれども、そういうことを自分の頭で考えているというのは、僕たち日本国民にとってはすごく大事だと思っています。
実はさっき申した、バス襲撃とか車をひっくり返しているというやつも、僕が教えている近畿大学の学生諸君にこの間も言ったんですけれども、普通に自分の目を開けて見ていたら、おかしいということがわかるだろう。
ちりじりばらばらにデモ隊がやられて、その後どうやって集まってきてあれをひっくり返すんだと。
だから、作られた映像は結構見抜けるものはあるんですよね。
今日の方々のような意識の高い人こそ、みんなに呼び掛けて、つなぎ合わせてこうじゃないかと仮説を含めて立ててみる、ということをぜひ やっていただきたいな、と今の質問をお聞きしてそう思いました。
ペマ・ギャルポ氏
今の質問は、みなさんが、ウイグルチベットモンゴルの協力関係について期待しているということはよくわかります。
たとえば、今、東京にウイグル人が800名くらい、チベット人が100名くらいおります。モンゴル人はたぶん5000人ぐらいいます。
じゃあ、今日ここにいない人たちは何にもやっていないか、というとそうではないです。
みんなそれぞれ、祖国のために、ある人は言葉を守り、ある人は一人でも多くの仲間をつくり、ですからいろんなやり方があって、しかも時代によって何かをやっていることを表に出して、ためになることとならないこともある、ということもよく理解してもらいたいと思います。
たとえば、私たちが同じ真実のために戦っても、そのときの状況によって戦い方が有効であることと、ないことがあります。
ですから、現段階においては、たとえば、表だって、何かをやってないから、ということであまり心配していただかなくても、私は大丈夫だと思うし、今日この会場にも私よりずっと先輩で、かつては台湾の独立をやって、日本政府からあまりいい顔をされなかった方がいます。
そのときに、私たちは、当時は毛沢東と蒋介石、私たちにとっては同じ敵でありました。しかし、片方が、冷戦構造の中においては、反共というところで…その反共って言ったときに、私を理解してくださったのは日本の反共だったんです。最初は。
なぜなら、日本では中国のことを中共というときだったんです。
しかし台湾独立の人たちに対しては、反共であるはずの中華民国も同じ抑圧をやっている、中国共産党と何も変わらない状況にあって…
会場にも当時先輩として、焼鳥屋でおごってくださって、台湾の独立のことを一生懸命やっている方がおられます。宗像先生というんですけれども。
(会場拍手)
たとえば、イリハムさんは表に立ってやっているけれども、それ以外のウイグルの人たちは、ウイグルの独立を望んでないかというと決してそうではないと思います。
彼を支え彼を励まし、いろんな意味で彼に助言しているウイグルの人たちが、私が知っている範囲でもたくさんおりますので、ウイグル、チベット、モンゴルのことは、現在の相対性の関係の中においては、やりたくなくても一緒にやらざるをえない状況にあるということで、理解してもらえればと思います。
そしてもう一つ大事なことは、私たちは今の状況、今の時代において相対的に誰が敵であるか、誰が味方であるかということと、もう一つは普遍的なことは何であるか、より絶対的な真理とは何であるかということを、これも同時に大事ではないかなと思います。
そういう意味で先ほどから日本の方々がおっしゃっていることの、ベルリンの壁が破られた後の出来事などについて考えてみますと、かつてはソ連の壁が破られるまでは、フリーヨーロッパラジオというのがありました。現在はフリーアジアラジオに変わっているんですね。
これは何よりも一つの時代の進化を表していると思います。
ヨーロッパにおいては先ほど青山先生がおっしゃったように、あらゆる民族が民族自決権に基づいて独立でき、そしてもし人間にとって人権、民族自決権ということが普遍的なものであるとすれば、やがてアメリカでさえも、同じように適用しなければならない。
現在、サミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」以来、ややもすれば、イスラムという特定の宗教を敵視するような世界世論を作っていますけれも、これだって一時的な相対的な現在の都合上のことであって、真理、真実が同じであれば、かならずいずれは、彼らに対する偏見はなくなるはずだと思います。
私は今日ここにいらっしゃってる方々は、何々人であるとか、今現在の問題だけでなくて、より普遍的な正義とは何か、そして現在、少なくてもチベット、ウイグル、あるいはモンゴル、あるいは中国人の中でも虐げられてる人たちに対して正義があり、そしてみなさんはその正義を支持しているというふうに私は解釈したいと思うし、おそらくウイグルも同じじゃないかなと思います。
ですから、最後に正義は必ず勝つということを信じてくださって、これからも末永く支援してもらいたい、と。特に会場を見ていると、ウイグルを支援する若い人たちがたくさんいるということは、とっても心強いと思うし、こういう人たちがいるっていうことは、やがて、宗像先生が今どういう心境にいるか知りませんけれども、これは正直言って、半世紀というのはあっという間に過ぎる時間ですので、自分たちがまいた種に実が出ることを楽しみにしてもらいたいと思います。
日本政府の対中外交はこれから変化が訪れると思いますか?
チベットウイグル問題など中国国内の少数民族問題に対してどのような対応をとると思いますか?
青山
一言で言うと、絶望的です。
さっき僕は、外務省の中にもノンキャリのやつで志をもっているやつがいるって言いましたよね。逆に言うと、キャリアで課長以上になるやつ、それから例えば中国の大使や全権公使になれる人でほとんど見あたらない。
あまり一般論で話すより具体論で言ったほうがいいと思うんですけれども、僕はかつて、一番最初に中国へ行ったのは28年も前なんですね。すごい若手記者のときにいきました。それから、十数年経て、三菱総研のシンクタンクの研究員になって中国に行って、当時の北京の日本大使館の筆頭公使と一緒に中国のアメリカ研究の専門家に会ったとき、その中国人の学者は中国共産党のブレーンの一人ですけれども、アメリカの核兵器の話を持ち出して、日本は核の傘ときれいなことを言っているが、要はアメリカの核を使って中国を脅しているんだ、というようなことを言ったんです。
そうすると、日本大使館の特命全権公使の彼が突然、ものすごく怒って、「おまえの言っていることはデタラメだ、日本はアメリカの核を使って中国を脅しているなんてことは真っ赤な嘘で、おまえのところのミサイルの東風21号というのは、日本に照準を合わせているじゃないか、おまえなんかと絶対生涯口をきかないからな」と言ってものすごく怒って、僕は唖然として彼の顔をみて、その後夜中喫茶店で彼と二人で飲んだときに、「東京大学出身のキャリアで中国の公使で、こんなことを言う人がいるとは思わなかった」と言ったら、「いや本当はみんな結構中国には頭にきているんですよ、言っていることはほとんど嘘ばっかりだもの」と彼は言ってですね。その彼はその後どうなったかというと、チャイナスクールから追放されて、今ヨーロッパのちっちゃい国の大使になっています。
しかし、さっき絶望的と言ったのは、だから絶望「的」なんであってね。特に民主党政権、民主党中心の政権になると、一段と状況が悪くなると思いますけれども、でもよーく組織の中に入っていくと、そうやってパラパラと本当の志をもっているやつがいて、さっきウイグル人、チベット人、モンゴル人の連携の話も出たけれども、日本国民の中でそういう人と連携するというのは僕は大事だと思っているわけですよ。
だから十把一絡げで、官僚は全部ダメだとか、日本の対中外交は全部ダメだって言ったら、それは評論家の人はそれでいいかもしれないけれど、そうじゃなくて僕たち実際に世の中を変えたい人間は、連帯しなきゃダメなんですよ。
連帯する人に丸ごと要求するんじゃなくて、できることをお願いすると。
だから僕はさっき言った当時の公使と、生涯付き合ってますけれどね。彼はまもなく大使を終わって、一般人に戻る。その時に、彼がいままでため込んだ、本当の中国の話、内緒の話を本にして出せということを今一生懸命お願いしているわけで、当然彼はそうすると天下り先が限られちゃうから、悩むわけですけれども。しかし僕が言ったのは、あなたも僕なんかも同じで、やがて死ぬのを待つだけなんだから、十分青春時代楽しかったでしょ、青春の北京も青春の上海もあったんだから、それだけやれ、後のことはしなくていいから。
そういう連携は個人的にはとっても大事だと思っているから、日本の対中外交はこれこれ、という評論家まがいの決めつけをやめましょう。実際に僕たちが考えているのは、実際に東トルキスタン共和国を作りたいんでしょう? 本気で。 傍観人じゃなくて。
であったら、それぞれの人のできる範囲のことをみんなできるようにしましょう。
西村氏
付け足しになりますけれども、対中外交の見通しはどうかという質問でいいわけですよね。青山さんと同じ答えになっちゃいますが、絶望的としかやはり言いようがないですね。
誰が言ってもそういう答えしか出てこないと思います。
ただ、その絶望的なものを絶望的でなくすために、今、今日、この時間に、このシンポジウムがあるんじゃないですか。たぶんそうだと思いますよ。
それはここにきていらっしゃる方々みなさんそう思ってらっしゃると思いますし、たまたま日本がウイグル、チベット、モンゴル、台湾、アジアの諸民族の方々がいられる場所であって、そこで自由に交流ができて、自由に意見がかわせられる場所であるという、この幸せな空間があるということを私たちはかみしめて、そこで、日本人は協力していくしかないんであって、それが政府の対中外交をもやがては変えていく力になるのではないかな、とそのように考えています。
青山氏
一つだけ付け加えると、日本の対中外交を変えるというのは、本当は一つ大きな武器を日本はもっているんですよ。
ここにいる人なら全員わかると思います。それは簡単なことで、我が国の宰相、内閣総理大臣が靖国を参拝する、それだけのことですよ。
(会場拍手)
だから、靖国に参拝するというのは、私たちのために亡くなった方を弔い、尊ぶことのできない宰相はいらない、と国民は言えばいいのに、右も左もへったくれもなくてですよ。いろんな考えを乗り越えて、その一点だけ、日本国民がまとまれば、対中外交は根本から変わるわけですよ。
決して僕は難しくはないと思っているんですよ。
絶望的と言ったけれど、突破口はちゃんと開かれているわけで、靖国神社を国家護持にして、右左関係なく。国家護持を嫌だという人は、ワシントンDCのアーリントン墓地に行ってくれ、といつも思うんですよ。
国家護持してるじゃないですか。大統領は聖書に手を置いて宣誓してるじゃないですか。
日本はパソコンとかそういうものにまで神が宿っている国なんです。
すべての、イスラム教のアラーとももちろん共存できるんですから。
その当たり前の僕たちの文化を、内閣総理大臣に具現させるだけのことですから、もう役人のせいとか誰のせいとかするのはやめましょう、ということを最後に、って僕が仕切っているわけじゃないから(笑)
ペマ氏
最後の最後にすいません。二つ。
一つは、少なくとも日本の場合には、みなさんの一票によって世の中の政策を変えられるということはまだ強みがあると思うんですよ。
1978年に外務省がいったんダライラマ法王に対してビザを取り消しました。
しかし、当時私は、いろんな右翼の団体にお願いして、それから日本の仏教界の一部が動いてくれて、ひっくり返しました。
いったん外務省が決定したことでも、ひっくり返るというのは、まだ世論というのはやっぱり無視できない社会の仕組みが日本にあるということで。
日本の外交が今後どうなるかということは、今現在は残念ながら、日本はある意味ではもうすでに、私たちと同じようにコントロールされているんですよ。
日本の国内においても自由に、中国の真実を書けない。それは一つはお金の問題です。経済の問題です。今日はそういう時間がなかったけれど、チベットウイグルに対しても別の見方が、また今度勉強会が必要だと思うんです。
それからもう一つは普遍的なことと言ったのは、この日本において、この40年間で僕が一番効果的だったのは何かというとですね、色川大吉先生が、日本国内においては百八十度違う立場だったんですけれども、中国へ行って、「雲表の国」という本を書いたんです。これはぜひみなさんに読んでもらいたいです。
「雲表の国」の中で初めて、社会主義体制の中に、植民地が存在するということを驚いた、と先生は懺悔のように書いております。
それはたぶん先生自身、社会主義共産主義をずっと信じてきたにもかかわらず、絶対的真理に対する脱帽を勇気をもって発言したことで、その後少なくとも日本のマスコミの書き方、特に、一般紙の書き方が変わり、 私は絶対的真理が強いとそのとき思いました。
今日その人の弟子も、会場に来ておりますので、この場を借りて、お礼を言わないと、私の恩師があんなことをやったのに、あのときだけは感謝して今は忘れているなんて、と思われたらいけないので、それも付け加えたいと思います。
要するに私たちは相対的には絶対変わりますよ。状況は。
それよりも、絶対的な真実を信じて、そして、正しいことはすべて正しいはずだ、ということでやることが大事だと僕は思います。
イリハム氏
閉会の挨拶
みなさん長い時間お付き合い下さり、ありがとうございます。
我々これから日本人に望むことは、ペマ先生がおっしゃったように、貴重な一票でいい人を国会に送って、日本を本当に変えてくれる方々を選んで欲しい。そうしないと、議員になるために議員になっている方がいっぱい入ってしまうと、いつも国のことを忘れて、自分の政党のことばかり考えて、いつもケンカばかりする国会になってしまうと思います。
ですから、国会が変わってくれれば、政府が変わってくれて、我々の運命に関心をもつ政府がでてくれれば、私たちの今のこの状態は必ず早めに変わってくれると思っています。
今回のウイグルの件で、今日、先生方のお話をきいて、よい勉強になりまして、私個人も非常にうれしいです。
これからも、共産政府が何かやったら、やった時は怖くないです。その事件が起こった後が怖いのです。
無駄な犠牲者がたくさんでるのは、共産主義社会の現実なんです。
ですから、たくさんの人々に、たくさんの国々、たくさんの政治家にこの件に関心をもって、無駄な犠牲が出ないように、我々を助けてほしいです。
今日、みなさん、本当にありがとうございます。
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